第177特務大隊
PLDを最大限に活用する為に設立された、オムニ軍の特務部隊。
設立当初の正式名称は「統合作戦本部 特殊作戦編成局 第177特務大隊 第3中隊 "DoLLS"」。
PLDを主に扱う第177特務大隊の中でも、第3部隊は航空部隊や支援車両なども保有し自己完結性を備え、またプロモーショナル(宣伝)として女性のみで構成された補完部隊であった。しかし独立戦争において初代隊長ハーディ・ニューランド指揮の下に活躍し、DoLLSの名は広く知れ渡ることとなる。
その後、第177特務大隊は独立戦争終結時に伴い解散されるが、ジアス動乱勃発により DoLLS のみが再編。
これによって第3中隊は第177特務大隊の主体となり「第177特務大隊 = DoLLS」となる。
約百年後のサイフェルト戦役でもDoLLSが再編されるが、こちらはより宣伝的意味合いが強まり、また問題児の雇用先としての一面を備えた、やや雑な位置づけとなっている。
いずれの場合でもDoLLSの隊員は、全軍から選抜された「容姿・実力ともに優れた女性」のみで構成され、隊が解散するかレギュレーションに達していないと判断されると原隊に戻される。
ブルーシリーズの広報部隊も DoLLS と呼ばれるが便宜上のもので、第177特務大隊とは関係がない。
設立関連
第177特務大隊の前身となる PLD 特殊部隊は開戦より約2年半経過した2538年1月7日に編成されている。
この頃オムニ独立軍は派遣軍による攻勢をほぼしのぎ切り、防衛線から反攻へとその戦略を変えようとしていた次期であり、その反攻における有力な戦力としてオムニ独自の兵器である PLD (パワーローダー)の活用を考えたのは当然であった。
PLD はそれまでの数々の防衛戦において極めて有用であり、特に機動力が重要となるゲリラ戦での活躍は際立っていた。この実績から PLD の真価が防衛よりも攻撃である事は明白であり、反攻に用いるにはうってつけの兵器と思われたのである。
しかし一方で、それまでの PLD の戦術的運用方法は、戦車などと同じ機甲兵器としてのその延長上でしかなく、この兵器の特性を生かした独特の運用は個人レベルの戦技に留まっていた。これはそれまでの戦局が常に補充兵力を必要としており、後方での研究に充当する余裕など無く、機材が確保できなかった事による。
それが戦争が2年半余り経過し、ようやくオムニ独立軍の動員力での派遣軍に対する優位が表面化してきたのである。これにより PLD 特殊部隊の創設も可能となった。戦力に余裕が出始めたと言っても、それは綱渡り的な状況を脱しただけで一気に派遣軍を凌駕する戦力が整った訳ではなく、 PLD 特殊部隊も編制早々、実戦に投入されている。この時出来た部隊は山岳地帯のゲリラ戦での戦術を研究する事を最初の任務とされていた。それまでの戦いでは、前述の通り戦術は従来の機甲兵器と同じものを基本としており、効果的な運用はパイロットの個人的な工夫に頼っていため、そのためキル・レートにはバラツキがあり、 PLD 本来の能力を生かした運用が成されていたとは言えず、戦力の投入にもずいぶん無駄があった。
それを PLD の戦術を確立し、運用を独自に体系化する事で独立した一つの兵器として戦力を把握しようとしたのである。こうして PLD 特殊部隊は装備機種を新型の X-1C/N 型とし、パイロットも各地の PLD 部隊から選抜された熟練パイロットを集めて編成され、編成後2週間弱という短い期間で実戦に投入されたのである。
当時一番の激戦地であり、最も防衛線深くに派遣軍の侵攻が行われていたクンピン山脈の攻防戦において、敵の進撃を食い止めるべく投入された同部隊は、たちまち真価を発揮した。
これには所属するパイロットはもとより、指揮官および附随する整備中隊員らも PLD という新兵器に魅せられた者たちであった点が大きい。編成間も無いにも関わらず士気は旺盛で、ほぼ戦闘毎に違った戦術を試すなど部隊の運用はスムーズであった。
この戦闘において PLD の戦術・運用における数々の成果がもたらされたが、その中でも特筆されるものが ANVTG と WANTIS の熟成である。
PLD はこれまでの機甲兵器には不可能だった細やかな機動が可能であり、ゲリラ戦術とも合間って迅速な集合・散開による火力の集中と分散、有機的な連動による柔軟な戦闘などその特徴を生かした戦術が確立されて行くにつれ、それに不可欠な個々のパイロットの周囲状況の把握や、それら情報を統合した情報の一元化とリアルタイムでの共有といった周辺環境を提供する支援装備の運用・開発にも多大な成果を挙げた。そして部隊の参戦後2ヶ月を待たずして派遣軍が後退を余儀なくされる3月には、同部隊はこれまでの PLD 部隊が挙げたキル・レートのダブルスコアを挙げるまでに戦果を拡大するのである。更に同部隊は同年4月に敵部隊の後方へ秘密裏に進出し補給線を攻撃。敵部隊の後退を促し、戦略的な運用データの収集も成功させる。またこのデータは当時進行していた次期主力 PLD 開発計画(ATR-XL)における敵深部での運用データとしても活用された。( ATR-XL では PLD による敵勢力圏内への空挺作戦も想定されている)
この成功にオムニ独立軍首脳はPLD特殊部隊の拡充を決定。同年7月、第2中隊として新たな部隊を編制した。(これにより今までの部隊は第1中隊となった)
この第2中隊は都市攻撃や平地における通常作戦での運用を主な任務とし、今度も熟練パイロットによる編成を考えていたが、各 PLD 部隊からこれ以上の熟練パイロットの引き抜きに反対する声があがり、半数以上が新人パイロットにより構成される事となった。これは結果として通常 PLD 部隊レベルでの運用データとして有用な資料となる副次効果を得る事となった。
この第2中隊は編成3ヶ月後の10月、オムニ独立軍初の奪回作戦となるホーペイ市街戦において、橋頭堡を確保すべく先鋒として出撃する。同作戦は成功したものの、第2中隊は約半数の機体が損傷するなど問題を残した。これは作戦内容がそれまでのゲリラ戦といった機動戦ではなく制圧戦であったためである。また、ここでも ANVTG と統括データリンクシステムの更なる熟成が指摘されたが、なにより問題とされたのはその戦闘行動時間の短さであった。 PLD の戦闘行動時間は数時間余りでしかなく、陣地確保など長時間の行動が求められる作戦ではむしろ不向きとされたのである。 PLD の戦闘行動時間の短さは X-1 型の投入初期から指摘されており、逐次延長の改修が行われていたものの、抜本的な改善は次期 PLD である X-3 ( RFP での同時間は10時間以上)まで待たねばならなかった。それでも敵制圧地への攻撃や確保地域の拡大など、運用方法の研究を行う事で市街戦においても従来の MBT よりも効果的な運用が可能と評価された。この後、運用方法の改良によりPLDは反攻作戦における先鋒として多用される事になる。この作戦終了後、 PLD 特殊部隊は同年11月、正式に「第177特務大隊」として改編される。
DoLLS
山岳地帯などでゲリラ戦を展開するレインジャー部隊としての第1中隊、都市攻撃における橋頭堡確保などを行う装甲突撃歩兵部隊としての第2中隊に続き、第3中隊は破壊工作・要人救出・戦線補強などあらゆる任務に即応する事を任務とする特殊部隊(DoLLS)として編成された。これは翌2539年1月に起こったカーミック大陸での派遣軍の PLD を投入した再侵攻に際し、適切な戦力の展開が出来なかったという戦訓から求められたものであった。
2539年8月に編成された同第3中隊は前述の ATR-XL でテストパイロットの任務に就いていたハーディー・ニューランド海兵隊少佐を中心に、陸海空海兵の4軍から選抜された女性兵士のみによって行われた。選抜にあたっては隊長就任が予定されていた同少佐の強い進言もあり適性を第一に考査され、一般兵種からの募集も行われている。
女性兵士のみで編成された理由としては、新型 PLD の X-3 型は性能が飛躍的に向上した替りにパイロットの適性がシビアであり、それに適応できる男性パイロットが既に払拭していたとか、厭戦気分を防ぐためのマネキンガールを軍上層部が期待していたとか、開発時からの陸海空海兵各軍の綱引きを和らげるため、女性兵士による共同部隊を編成する事で反目を和らげる効果を狙った、など言われているがハッキリしていない。ただ、戦局の求めから急遽編成が求められたという成り立ちから、X-3型に早く習熟する必要があり、適性選抜の結果メンバー候補に女性兵士が多かった事から編成後の障害を事前に取り除くという判断により女性兵士のみの部隊となったらしい。なお、その任務目的から他の中隊とは違い部隊内に航空部隊や支援車両を持ち、自部隊のみで作戦の完結が図れる体勢となっていた。編成作業は初めから新型 PLD の X-3 型を導入する予定だったため開発の遅れから配備が手間取り、慣熟訓練を終了しフルメンバーが揃うのは実戦配備後にまでずれこむこととなった。それでもこの一部の未基礎訓練者を除き、 X-3 型の配備が充足すると特殊任務訓練とはいえ殆どスケジュールの遅れは見られず、適性に重点を置いて選抜した意味は充分あったと言える。
だが編成された2539年一杯は配備の遅れから部隊としての訓練が行えず。習熟訓練も兼ねて X-3 型装備の運用テストなど、開発支援任務も行っていた。また、同時にこの頃広報部の依頼により、軍の宣伝活動にも一役かっている。DoLLS の初参戦は2540年春に実施が予定されていた『リワインド作戦』において補完部隊としての参加が予定されていたが、今回その事前作戦における戦力移動の隙を突かいた派遣軍の攻撃により前線の一部が後退するという緊急事態が発生。まだ編成未了ではあるが緊急展開できる部隊が他に存在しなかった事から急遽投入が指令されたのである。
(POWER DoLLS DATA BASE Ver.1.00)
